本研究会は、約30年間にわたり、調査に基づく実態解明はもちろんのこと、政策提言、社会への情報提供、学術研究への貢献などに積極的に取り組んできました。この間、大きく世代交代も進み、初代委員長の江見康一先生(経済学)、二代目委員長の西三郎先生(社会医学)、三代目の委員長の杉澤(保健社会学)とバトンが継がれてきました。メンバーで鬼籍に入られた先生もおり、研究会の長い歴史を実感させられます。
研究会の特徴は、当事者である患者の目線、透析医療の従事者の医学的な目線、社会調査や統計学の専門家の目線といった、3つの異なる視点で透析医療の問題を多角的・総合的に検討するという点にあります。これは委員会が発足した時から不変です。さらに、その底流には、「研究のための調査」ではなく、「問題可決のための調査」を行うという信念があります。
透析医療をめぐる課題も、透析医療の量的な拡大から、社会参加、要介護者への介護態勢、ターミナルケアなど、多様で複雑なものへと変化してきています。加えて、医療費抑制という社会保障費の社会的負担の軽減に関する議論の中で、透析医療のコストが問題視されるようになり、そのことにどのように対応していくかが問われています。
今後も、透析患者とその家族、透析医療の従事者の方々に役立つような調査を心がけます。
透析医療研究会
世話役 杉澤秀博